2008年09月28日

都庁への魔の通路を全力で駆け抜ける

寝そべれないベンチを見たことがある人も多いと思う。
あのベンチに仕切りがあるやつだ。

ベンチをつくる。
するとホームレスが寝る。
みんなが使えなくなる。

「特定の人がベンチを占拠することを、
放置するわけにはいかなかったので。」
というわけだ。

私はなんとなく、そういう風景をみると
怖くなる。

都内で代表的なのは、JR新宿駅西口から
都庁へ向かう通路「動く歩道」のあるところだ。

3524059.jpg

カラフルな座るところが斜めの椅子が
敷き詰められている。
円柱が斜めに切られたような。

でもそれは椅子ではない。
斜めだもの。
ホームレスが床に座り込んだり
寝たりしないように置いてある
不思議な風景だ。
でもそれは「アート」だとされている。
こういうまち角の風景は本当に何より残酷だ。
ホームレスが寝ていることより
もっとリアルに私たちにその現状を突きつけるように。

これができるきっかけとなったのは
1996年、JR新宿駅西口の地下通路に
「動く歩道」がつくられたときだ。
以前そこにはホームレスの段ボールハウスがあって、
都はそれらの強制退去を図って、
「動く歩道」とその斜めのバリアをつくった。

都庁にいくのははじめから好きではないけど、
JR新宿駅西口から行くとなると
もう、それはそれは行きたくない。

でも馬鹿な私はいつも都庁に行くとき遅刻寸前なので
小走りでその通路を走り抜けるんだけど、
あのオレンジの斜めの円柱が視界に入るたびに
「あんなセンスをしている
公権力に負けるな!攻め入るぞ!」と思って、
都庁への魔の通路を全力で駆け抜けている。
(でもいつも爆死して、いつも帰り道は
トボトボ帰るんだけど。)

ある商店街ではホームレスが寝れないように
水を撒いて対処すると、普通に事業計画に盛り込んでいる。

行政も何もいわない。

駐輪対策に困った警察が、道路課と一緒に
ベンチを置いたりする。
まるでそれと変わらぬかのように、
ホームレス対策ですよといって、
ベンチを置いたりする。

オープンカフェもそう、オープンカフェをやったら
ホームレスがいなくなりました!平気な顔をしていう。

でも私は人のことをいえない。

以前、仕事でオープンカフェをやっていたら、
ホームレスがいて、
すごくお世話になっているプロダクションの人が
お得意が来るとわかって、どいてもらわなきゃといって
小銭をあげて、どいてもらうように頼んでいたのを見た。

私はそのとき、その親しき知人に
やめましょうよと小さい声で言うことしかできなかった。
終わったあと、手伝いに来てくれた仲間に
こんなことがしたくてこの仕事をしたんじゃないと
何度も何度もいったらしいが、結局私なんて
そんな程度のやつなんだ。
そのことを思い返すととても恥ずかしく、
なんと自分の仕事は悔しい仕事なのだろうと
このときのことがずっと頭を離れずに、
今もその商店街を通る度に
思い出して、鼓動がはやくなる。

ロザンヌ(NYタイムズスクエアで
まちづくりNPOである
タイムズスクエアアライアンスとともに
ホームレスに家と就業支援、メンタル、健康支援等を
行っているコモングラウンドコミュニティの代表)を
思い出す。

彼女のまっすぐな目を思い出すと
私ももう少し頑張ってみて
やれることがまだあるんじゃないかと
もう1回、顔を上げて、まちをみてみようと
思い直す。

まちをみてみると、
日常には驚くくらいの優しさと怖さと
狂いと幸せがごちゃまぜになって
私たちを包み、そして排除している。

私はこういう日常を自分の目でしっかり見て考えて
行動するということを、仕事にしたい。

それをまちづくりと呼びたいけど、
同時に呼びたくもない。

けど、呼んでしまうんだろう。
そうすることで
仕事になっても、欲しい答えがでないと
薄々わかっていても。

そうやってか、どうやってかなんて
どうでもよくってね、
ただただ、私は都庁への魔の通路を
全力で駆け抜ける。







posted by にしもとちひろ at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | まちの風景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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